Hiking log vol.11 高嶺への憧れ(燧ケ岳/御池登山口)
燧ケ岳(ひうちがたけ)は福島県が誇る”尾瀬”を見守るように聳える東北地方の最高峰。
”山は高さではない”とよく言われているが、それでも東北で一番標高が高く、さらに北海道の最高峰「旭岳」よりも高い、そう耳にすれば登るべき山の優先順位は自然と上位にくることは致し方ないことだった。
東北で1番高い山は?と聞かれたら即答できるのは地元の方々や、山好すな方だけだと思う。
日本で2番目に高い山を即答できないのと一緒かもしれない。
登山を始めて、いつかは燧ケ岳に登りたいと目論んでいたが、季節外れの雪のように今回もまたそれは唐突に訪れた。
訪れたと言っても、実際にそれを決めるのは自分自身であって、行こうと思う強い気持ちがあれば道が続く限りどこへでも行けるのだから、同じ東北にある山など少しのキッカケで十分だと、今更ながら思う。
季節は秋から冬へと入ろうとする10月末。
山が雪に閉ざされる前にもう一座登りたいという欲求が湧いてきた。
どうせならまだ登ったことのがない山にしようと思い、当初はこれまた憧れであった岩手県の早池峰山を候補に挙げ、ルートを吟味していた。
しかし、登山道へ続く道路が冬季閉鎖することを直前になり知り断念することになった。
ただ、自分の登山熱は冷めるどころか沸騰したまま、少々遠くても登れるなら行こう。そう腹をくくっていた。
燧ケ岳は”超”が付くほどの人気観光地”尾瀬”にあるために、繁忙期の混雑が一番のネックになっていたが、この閑散期なら混雑を気にせず登山を楽しめるのでは?
そう自分へ暗示をかけ荷物を車に詰め込み、週末の夜に燧ケ岳を目指した。
下道を走り続けること6時間。
福島県檜枝岐村(ひのきえまたむら)にある燧ケ岳の登山口「尾瀬御池」の駐車場に到着した。
時刻は深夜0時過ぎ。
広い駐車場には自分を含めて4、5台の車しかない。
気温は0℃、うっすらと雲が夜を包み、ディフューザーのように月の明かりを優しくしている。
長距離の運転でガチガチに固まった体をほぐすために、外に出て間も無く、空からチラチラと雪が降ってきた。
まさか、この時期、この場所で今季の初雪に遭遇するとは想像もしていなかった。
この雪が翌日の登山へ与える影響への不安もある中で、車の後部座席でシュラフに包まると眠りについた。
翌朝6時40分
尾瀬に陽が昇り、空はうっすらと明るくなってきた頃に駐車場の奥にある登山口より入山。
登山口よりすぐに分岐点があり、そこを左へ入ると燧ケ岳山頂へと続く。
登山道は、木道も多く、とても歩きやすく整備されているのが感じられた。
ただ、ところどころガレ場だったり、涸れ沢を歩いたりと登りにくい箇所もある。
登山口より暫くは急な登りが続き、昨夜の降雪も相まってとても歩きにくかった。
気温が高いこともあり雪は部分的に解けていた。
40分ほど歩くと、急に視界が開けて最初の湿原「広沢田代」に出る。
登山開始から狭い樹林帯を登ってきたためか、その広さに驚くとともに、雪化粧した湿原、朝霧が醸し出す夢幻かと錯覚させられる空間に立ち止まらずにはいられなかった。
広沢田代には無数の池塘があり、美しい水面と湿原の組み合わせが見事だった。
広沢田代を後にして、再び樹林帯へと入る。
次の湿原へ早く行きたいという気持ちからか、足取りは軽く、歩きにくい木の根が露出した道も苦にならない。
樹林帯を抜けると、広沢田代よりさらに広い「熊沢田代」の入り口へ差し掛かった。
この蛇のように続く木道を歩けるかと思うと、気持ちが高ぶる。
右へ緩やかにカーブする木道を抜けると同時に、目の前に突然現れる燧ケ岳の頂上に圧巻されてしまった。
山頂まで伸びているかのように続く木道とその左右にある池塘、そしてどっしりと鎮座する燧ケ岳。
そして雪が見事に燧を飾り付けてくれている。
前を歩く男性がカメラを取り出すのと同時に自分もカメラを構える。
ここで写真を撮らないのなら、その人はきっとカメラを忘れたか、あまりの美しさに只々呆然としているのだろう。
まだまだ時刻は早朝。
急ぐ理由は一つもない。
時間も忘れて湿原を楽しんだ。
先ほどの前を歩いた男性はゆっくりとしたスピードで歩いており、自分は池塘脇の休憩スペースで追いついた。
「今日は本当に登って良かったですよね。」そう優しい口調でポツリと一言だけ声をかけられた。
自分は「そうですよね。」とそれ以上気の利いた言葉も見つからず平凡な会話のやりとりだったが、この景色を前にすればそれ以上は必要なかったからだろう。
朝日に照らされた枯れ草に積もった雪が眩しかった。
突然風が吹いたと思えば、雪がダイヤモンドダストのようにキラキラと光りながら空に舞ったことは鮮明に覚えている。
熊沢田代を惜しみつつ、引き続き緩やかに長く伸びる木道を進む。
この付近の木道は一見キレイに整備されているようだったが、ところどころ崩れている箇所もあり、注意が必要だった。
木道を少し登って振り返ると、眺望が良く、熊沢田代の全容がよくわかる。
木道を登りきると、再び背の低い樹林帯や、涸れ沢を進む。
暫く進むと、200mほどの涸れ沢にたどり着くが、この涸れ沢が曲者だった。
この涸れ沢を目の前にして、「はぁ...ここを登らなくちゃならないのか。」そう燧の山へ弱音を漏らす。
涸れ沢は急な登りで、足場も悪い。
浮石もあるため、後続がいるのならば尚更慎重に進まなければならなかった。
また、日陰になっているため、雪がなかなか解けないいのも厄介。
涸れ沢を登りきると藪に突き当たるので、左へ曲がりガレ場の斜面を横切る。
涸れ沢の突き当たりの藪は一見登山道の様に見えるので間違っても突き進んではいけない。
ガレ場を横切り、ハイマツの道を進むと、まるでトトロの家へ抜けるようなトンネルがあり、背を丸めてくぐった。
トンネルを抜けると、突如右前方に燧ケ岳で最高峰の柴安嵓(しばやすぐら)が目に飛び込む。
空に浮かぶ孤島のように、威風堂々とした姿は非常に迫力がある。
足元に大きな岩が見えて間も無くして俎嵓(まないたぐら)の頂上に着いた。
俎嵓の頂上は大きな岩場になっており足場は良くはないが、祠と三角点があり、そこからの眺望は文句無しに抜群だった。
当日は快晴だったため、日光の山々や会津駒ケ岳、遠くではアルプスや富士山も見ることができた。
そして目の前には尾瀬沼、振り返れば堂々と聳える柴安嵓が待っている。
登った者にのみ与えられる感動がある。
頬を打つ冷たい風、見下ろす雲、燧ケ岳の存在感に酔いしれる。
一通り展望を楽しんだら柴安嵓へ向かった。
俎嵓から岩場やハイマツの斜面を下り、一度平坦な道に降りてから再度急斜面を登る僅か20分の行程。
気温も0℃付近のため、大きな氷柱ができていたり、木道が氷ついていた。
柴安嵓からの眺望も俎嵓と同様に見事だったが、特に眼下の尾瀬ヶ原とその向こうの至仏山が美しい。
穏やかな晴天といっても、遮る者がない山頂の風は強いため、自分は岩場の影で食事を摂ることにした。
友人から頂いた自作のアルコールストーブで湯を沸かし、コーヒーを淹れる。
このアルコールストーブは市販品を差し置いてすっかりレギュラーの位置を確固たるものにしてしまった。
気温0℃、標高2356mの山頂にコーヒーの香りが漂うと、ようやく緊張していた気持ちがスッと緩んだ気がした。
マグカップを片手に山頂をあちこち歩く余裕も出ていた。
休憩し、景色をしっかりと目に焼き付けて下山となった。
下山途中は気温も上がっており、朝に登った道と同じとは思えないほど景色が変化していた。
霧も晴れ、日に当たる場所では木道に積もった雪も跡形なく消えてしまっている。
朝の時点では霧や雪で果たして登山を楽しめるか不安もあったが、広沢田代、熊沢田代の大きな湿原や木道がとても幻想的になり、これはこれで良かったなと思った。
下山では雪も溶けまた違った表情を見ることもできたので、一度で二度美味しい登山となったのは間違いない。
ただ、一つだけ後悔してしまったのは、日帰りで登ったしまったこと。
そう感じたのは、山頂から望んだ尾瀬沼や尾瀬ヶ原、至仏山の姿が本当に素晴らしくて、そこを歩くことなく帰路に立つのが悔しいと思ったからだ。
感動と悔しさを同じくらい感じた山もまた珍しい。
もう少し早い時期ならば、御池から燧ケ岳を経由して尾瀬沼に下り、尾瀬沼を堪能してから尾瀬沼山峠バス停からのバスで御池へ戻るコースが楽しめるかと思う。
悔しいと思ったが、それでも東北最高峰に登頂できたという達成感は素直に嬉しかった。
この経験は間違いなく今後の登山への活力となるだろう。
尾瀬は是非ともまた違うルート、違う時期に尾瀬沼や尾瀬ヶ原を絡めて訪れたいと思う。
テントを持ってテント泊をしながら散策するのも楽しそうだ。
下山後は、檜枝岐村で「裁ちそば」を食し、温泉に浸り、また長い道のりを経て仙台へと戻った。
深田久弥の小説「日本百名山」の燧ケ岳について、最後に燧ケ岳や尾瀬の保全に尽力された平野長英の短歌が紹介されている。
”この朝も燧の高嶺雪ふりぬいよいよみ冬近づきにけり”
まさに今回の燧ケ岳の風景と同じだと感じると共に、先駆者達が苦労して開拓してくれた事に深く感謝したい。
今回の登山ルート
登山日 2015年11月1日
登山口 尾瀬御池
登山ルート 尾瀬御池〜広沢田代〜熊沢田代〜俎嵓〜柴安嵓
登山開始 午前6時40分
広沢田代 午前7時30分
熊沢田代 午前8時20分
7合目 午前8時50分
涸れ沢 午前9時00分
8合目 午前9時20分
9合目 午前9時25分
俎嵓 午前9時40分
柴安嵓 午前10時20分
尾瀬御池 午後2時00分 下山
合計時間 7時間20分
総距離 約9.4km
高低差 約850m
温泉情報
檜枝岐村には「燧の湯」「駒の湯」「アルザ尾瀬の郷」の3箇所の温泉施設があり、今回は「燧の湯」を利用させていただいた。
「燧の湯」の施設は新しく、とても清潔で露天風呂から眺める渓谷や山の紅葉が美しく大変心地が良かった。
参考書籍
記事作成の過程で、次の書籍を参考にさせていただきました。
○新潮文庫 深田久弥著 日本百名山
○JTBパブリッシング 日本百名山 山あるきガイド上
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山が雪に閉ざされる前にもう一座登りたいという欲求が湧いてきた。
どうせならまだ登ったことのがない山にしようと思い、当初はこれまた憧れであった岩手県の早池峰山を候補に挙げ、ルートを吟味していた。
しかし、登山道へ続く道路が冬季閉鎖することを直前になり知り断念することになった。
ただ、自分の登山熱は冷めるどころか沸騰したまま、少々遠くても登れるなら行こう。そう腹をくくっていた。
燧ケ岳は”超”が付くほどの人気観光地”尾瀬”にあるために、繁忙期の混雑が一番のネックになっていたが、この閑散期なら混雑を気にせず登山を楽しめるのでは?
そう自分へ暗示をかけ荷物を車に詰め込み、週末の夜に燧ケ岳を目指した。
下道を走り続けること6時間。
福島県檜枝岐村(ひのきえまたむら)にある燧ケ岳の登山口「尾瀬御池」の駐車場に到着した。
時刻は深夜0時過ぎ。
広い駐車場には自分を含めて4、5台の車しかない。
気温は0℃、うっすらと雲が夜を包み、ディフューザーのように月の明かりを優しくしている。
長距離の運転でガチガチに固まった体をほぐすために、外に出て間も無く、空からチラチラと雪が降ってきた。
まさか、この時期、この場所で今季の初雪に遭遇するとは想像もしていなかった。
この雪が翌日の登山へ与える影響への不安もある中で、車の後部座席でシュラフに包まると眠りについた。
翌朝6時40分
尾瀬に陽が昇り、空はうっすらと明るくなってきた頃に駐車場の奥にある登山口より入山。
登山口よりすぐに分岐点があり、そこを左へ入ると燧ケ岳山頂へと続く。
登山道は、木道も多く、とても歩きやすく整備されているのが感じられた。
ただ、ところどころガレ場だったり、涸れ沢を歩いたりと登りにくい箇所もある。
登山口より暫くは急な登りが続き、昨夜の降雪も相まってとても歩きにくかった。
気温が高いこともあり雪は部分的に解けていた。
40分ほど歩くと、急に視界が開けて最初の湿原「広沢田代」に出る。
登山開始から狭い樹林帯を登ってきたためか、その広さに驚くとともに、雪化粧した湿原、朝霧が醸し出す夢幻かと錯覚させられる空間に立ち止まらずにはいられなかった。
広沢田代には無数の池塘があり、美しい水面と湿原の組み合わせが見事だった。
広沢田代を後にして、再び樹林帯へと入る。
次の湿原へ早く行きたいという気持ちからか、足取りは軽く、歩きにくい木の根が露出した道も苦にならない。
樹林帯を抜けると、広沢田代よりさらに広い「熊沢田代」の入り口へ差し掛かった。
この蛇のように続く木道を歩けるかと思うと、気持ちが高ぶる。
右へ緩やかにカーブする木道を抜けると同時に、目の前に突然現れる燧ケ岳の頂上に圧巻されてしまった。
山頂まで伸びているかのように続く木道とその左右にある池塘、そしてどっしりと鎮座する燧ケ岳。
そして雪が見事に燧を飾り付けてくれている。
前を歩く男性がカメラを取り出すのと同時に自分もカメラを構える。
ここで写真を撮らないのなら、その人はきっとカメラを忘れたか、あまりの美しさに只々呆然としているのだろう。
まだまだ時刻は早朝。
急ぐ理由は一つもない。
時間も忘れて湿原を楽しんだ。
先ほどの前を歩いた男性はゆっくりとしたスピードで歩いており、自分は池塘脇の休憩スペースで追いついた。
「今日は本当に登って良かったですよね。」そう優しい口調でポツリと一言だけ声をかけられた。
自分は「そうですよね。」とそれ以上気の利いた言葉も見つからず平凡な会話のやりとりだったが、この景色を前にすればそれ以上は必要なかったからだろう。
朝日に照らされた枯れ草に積もった雪が眩しかった。
突然風が吹いたと思えば、雪がダイヤモンドダストのようにキラキラと光りながら空に舞ったことは鮮明に覚えている。
熊沢田代を惜しみつつ、引き続き緩やかに長く伸びる木道を進む。
この付近の木道は一見キレイに整備されているようだったが、ところどころ崩れている箇所もあり、注意が必要だった。
木道を少し登って振り返ると、眺望が良く、熊沢田代の全容がよくわかる。
木道を登りきると、再び背の低い樹林帯や、涸れ沢を進む。
暫く進むと、200mほどの涸れ沢にたどり着くが、この涸れ沢が曲者だった。
この涸れ沢を目の前にして、「はぁ...ここを登らなくちゃならないのか。」そう燧の山へ弱音を漏らす。
涸れ沢は急な登りで、足場も悪い。
浮石もあるため、後続がいるのならば尚更慎重に進まなければならなかった。
また、日陰になっているため、雪がなかなか解けないいのも厄介。
涸れ沢を登りきると藪に突き当たるので、左へ曲がりガレ場の斜面を横切る。
涸れ沢の突き当たりの藪は一見登山道の様に見えるので間違っても突き進んではいけない。
ガレ場を横切り、ハイマツの道を進むと、まるでトトロの家へ抜けるようなトンネルがあり、背を丸めてくぐった。
トンネルを抜けると、突如右前方に燧ケ岳で最高峰の柴安嵓(しばやすぐら)が目に飛び込む。
空に浮かぶ孤島のように、威風堂々とした姿は非常に迫力がある。
足元に大きな岩が見えて間も無くして俎嵓(まないたぐら)の頂上に着いた。
俎嵓の頂上は大きな岩場になっており足場は良くはないが、祠と三角点があり、そこからの眺望は文句無しに抜群だった。
当日は快晴だったため、日光の山々や会津駒ケ岳、遠くではアルプスや富士山も見ることができた。
そして目の前には尾瀬沼、振り返れば堂々と聳える柴安嵓が待っている。
登った者にのみ与えられる感動がある。
頬を打つ冷たい風、見下ろす雲、燧ケ岳の存在感に酔いしれる。
一通り展望を楽しんだら柴安嵓へ向かった。
俎嵓から岩場やハイマツの斜面を下り、一度平坦な道に降りてから再度急斜面を登る僅か20分の行程。
気温も0℃付近のため、大きな氷柱ができていたり、木道が氷ついていた。
柴安嵓からの眺望も俎嵓と同様に見事だったが、特に眼下の尾瀬ヶ原とその向こうの至仏山が美しい。
穏やかな晴天といっても、遮る者がない山頂の風は強いため、自分は岩場の影で食事を摂ることにした。
友人から頂いた自作のアルコールストーブで湯を沸かし、コーヒーを淹れる。
このアルコールストーブは市販品を差し置いてすっかりレギュラーの位置を確固たるものにしてしまった。
気温0℃、標高2356mの山頂にコーヒーの香りが漂うと、ようやく緊張していた気持ちがスッと緩んだ気がした。
マグカップを片手に山頂をあちこち歩く余裕も出ていた。
休憩し、景色をしっかりと目に焼き付けて下山となった。
下山途中は気温も上がっており、朝に登った道と同じとは思えないほど景色が変化していた。
霧も晴れ、日に当たる場所では木道に積もった雪も跡形なく消えてしまっている。
朝の時点では霧や雪で果たして登山を楽しめるか不安もあったが、広沢田代、熊沢田代の大きな湿原や木道がとても幻想的になり、これはこれで良かったなと思った。
下山では雪も溶けまた違った表情を見ることもできたので、一度で二度美味しい登山となったのは間違いない。
ただ、一つだけ後悔してしまったのは、日帰りで登ったしまったこと。
そう感じたのは、山頂から望んだ尾瀬沼や尾瀬ヶ原、至仏山の姿が本当に素晴らしくて、そこを歩くことなく帰路に立つのが悔しいと思ったからだ。
感動と悔しさを同じくらい感じた山もまた珍しい。
もう少し早い時期ならば、御池から燧ケ岳を経由して尾瀬沼に下り、尾瀬沼を堪能してから尾瀬沼山峠バス停からのバスで御池へ戻るコースが楽しめるかと思う。
悔しいと思ったが、それでも東北最高峰に登頂できたという達成感は素直に嬉しかった。
この経験は間違いなく今後の登山への活力となるだろう。
尾瀬は是非ともまた違うルート、違う時期に尾瀬沼や尾瀬ヶ原を絡めて訪れたいと思う。
テントを持ってテント泊をしながら散策するのも楽しそうだ。
下山後は、檜枝岐村で「裁ちそば」を食し、温泉に浸り、また長い道のりを経て仙台へと戻った。
深田久弥の小説「日本百名山」の燧ケ岳について、最後に燧ケ岳や尾瀬の保全に尽力された平野長英の短歌が紹介されている。
”この朝も燧の高嶺雪ふりぬいよいよみ冬近づきにけり”
まさに今回の燧ケ岳の風景と同じだと感じると共に、先駆者達が苦労して開拓してくれた事に深く感謝したい。
今回の登山ルート
登山日 2015年11月1日
登山口 尾瀬御池
登山ルート 尾瀬御池〜広沢田代〜熊沢田代〜俎嵓〜柴安嵓
登山開始 午前6時40分
広沢田代 午前7時30分
熊沢田代 午前8時20分
7合目 午前8時50分
涸れ沢 午前9時00分
8合目 午前9時20分
9合目 午前9時25分
俎嵓 午前9時40分
柴安嵓 午前10時20分
尾瀬御池 午後2時00分 下山
合計時間 7時間20分
総距離 約9.4km
高低差 約850m
温泉情報
檜枝岐村には「燧の湯」「駒の湯」「アルザ尾瀬の郷」の3箇所の温泉施設があり、今回は「燧の湯」を利用させていただいた。
「燧の湯」の施設は新しく、とても清潔で露天風呂から眺める渓谷や山の紅葉が美しく大変心地が良かった。
参考書籍
記事作成の過程で、次の書籍を参考にさせていただきました。
○新潮文庫 深田久弥著 日本百名山
○JTBパブリッシング 日本百名山 山あるきガイド上
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